元々DOSマシンではないモバイルギアMKシリーズ、DOSで使用する際に幾つかの制限や問題があります。
DOS化して使うということを NECは正式には認めていません。ですからDOS化及びDOSの使用が直接の原因となってハードウェアが故障した場合は修理を断られるかもしれません。そんな故障はまず有り得ないことと思いますが。
また、ソフトウェア的には完全な初期化が容易(主電池・副電池を抜いて30秒ほど放置すれば十分)ですから、修理云々を考える必要はないでしょう。むしろ、DOSのアプリが動くかどうかの保証が無いと解釈するべきでしょう。
フラッシュATAカードは殆どのものが使用できますが、5V動作のフラッシュATAカードは、モバイルギアでは通信時に書き込みできないという欠点があります。できれば 3.3/5V両用のカードを用いましょう。また、ドコモバ・ワールド!のこの頁に使えるカードの情報があります。
できれば SunDiskのOEM品(ブランドを隠しているけど本当はSunDisk製の品)を使いませう。EPSONのフラッシュATAなどがそうです。
DOS/Vは元々「日本語の表示をソフトに任せることにより 外国産のパソコンで日本語を扱おう」という考えで開発されたものですから、独自規格のモバイルギアでも 適当な日本語表示用ソフトとフォントさえあれば日本語を扱うことが出来ます。
具体的には、プロンプトから直接実行するだけのものは当然ですが、他にも FD/VZ/KTX...などの多くのオンラインソフトが動作します(註1)。
ですが、問題は「日本語しか扱えない」つまり「画面を直接操作するアプリケーションは不可」ということなのです(多くの"豪華市販ソフト"やゲームがこれに当てはまります)。こればかりは上の規格に準じていないとどうにもなりません。
もっとも、表示ソフトにMGCGAを使えば CGA規格に対応してくれますので、幾つかのソフトはこれで動作させることも可能です。
英語のソフトは 殆どが EGA/VGAが当然という観点で作成されていますので、MGCGAを使ってみてください。CGAで動作するソフトの一部が モバイルギア+MGCGAで動くようです。
また、画面を直接操作しないソフトでも、表示の関係から 25行未満では実質的に使用出来ないソフトもあります(たとえば、Turbo HAMLOGは下のメニューが潰れてしまいます)。25行で使えば済む話ですが、フォントが見づらいので辛いですね。
軽快なオンラインソフトの多くはV-TEXTを睨んで作成されており、行数に関する制限が緩和され また30行でも40行でも動いてくれるようになっています。V-TEXTは variable textの略で、「フォントを小さいものに変えたら、桁数や行数を増やせて 画面を広く使えへんか?」という発想に基づいています。
DOSのファンクションコールではビープは鳴ってくれません。つまり通常のビープは鳴らないということです(フリーソフト MGWAV によって .WAVデータの再生は可能)。
環境変数の意味が解らない人は、今御使用中のPCのCドライブにある AUTOEXEC.BAT というファイルをメモ帳で見てみてください。
set PATH=c:\windows;c:\windows\command....
set Blaster A220 I5 D1 H5 P330 T6
こんな記述があると思います。こうやってsetで定められるのが環境変数で、この容量が256byteとは 環境変数の設定に英字なら256文字しか使えないということです。これでは さまざまなソフトが要求してくる環境変数を全て設定するわけにはいきません。ですから、以下のようにして対処する必要があります。
3.について。たとえば
A:\>command /e:1024
と入力すると、環境変数の容量を1024byteにすることが出来ます。これは、今まで動いていたDOSの上でもう一回 DOSを動かしていると考えてください。その分 アプリケーションに使えるメモリが10kBほど減ります。
A:\>exit
で戻ります。
4. は、vectorなどを漁ってください。exenv moreenv 等が Mg-DOSメーリングリストで話に挙がっていました。
MS-DOSで最も重要な MSDOS.SYS COMMAND.COM は当然入っていますが、その他のコマンドファイルが殆ど入っていません。
言い換えれば、内部コマンド(COMMAND.COMだけで実行出来るコマンド)しか使えない、外部コマンドは殆ど使えないということになります。MS-DOS 6.2/v の内部コマンドは、
break, cd(chdir), cls, copy, ctty, date, del(elase), dir exit, lh, md, path, prompt, ren(rename), rd(rmdir), set, time, type, udeoff, ver, verify, vol
に commandそれ自体を含めて、24種類です(参考:DOS6/Windows 便利ブック アスキー書籍編集部 編)。あとはバッチファイルで使えるのが @, call, choice, echo, for, goto, if, pause, rem, shift の10種です。
他に 私のMC-MK12に内蔵されている外部コマンド(DOSで使えそうなもの)は、
adddrv,deldrv,power,emm386,keyb,setpow,cdfdisk,chkdsk,nipull
位でしょうか。
というわけで、フリーウェア等で埋め合わせをする必要があります。まぁ探せば見つかるので大した問題ではないとも言えますが、とりあえず。
#もちろん、MS-DOS6.2/V が余っている人はそれを入れるのも良いでしょう。
まず、本体から RI信号が出ていません。これを使用する機械は希ですが、ほぼ唯一と思われるのが高速転送ソフトです(泣)。特にPC-9801ユーザーの一部は 夢の200kb/sから悪夢の9600b/sに叩き落とされたと言っても過言ではないでしょう。
また、CDC信号がレベルコンバーターから出ていません。こちらも使用するケースは希ですが、いざとなれば改造することも出来ます。ケーブルの改造に関しては ぞろよしさんの「あなたが落とした金のモバイルギア」をご覧ください。