COMポートを用いたKeying/PTT

MICE.exe や zLog等の、COMポートからCWのキーイングが出来るコンテストログプログラムを使用する場合、インターフェース回路を組まれることと思います。私が現在使用しているインターフェイス回路は以下の通りです。

D1は逆耐圧VR が 15V以上あり、逆電流IR の小さい物を選んでください(フォトカプラに掛かる逆電圧は、並列に付いた抵抗値とD1の逆電流から決まりますので)。整流用・一般用シリコンダイオードであればこの条件を満たすと思います
keying回路図(COMポートからKEY)
keying回路図(COMポートからPTT)

各端子の電圧とピン配置を示します

      DTR (KEY) RTS (PTT) SG (GND1) FG (GND2)
通常の25pin   20   4    7   1
MC-RS1(25pin)   6    5    7   1
通常の9pin   4    7    5   -
MC-RS6( 9pin)   6    8    5   -

ここに至るまでの経緯を簡単にご説明しましょう。

RTS,DTR端子の電圧は、ON時 +12V ・OFF時 -12V ですので、GNDと接続する際は逆電圧(-12V)によるフォトカプラの破損を防止する必要があります。逆電圧を防止するには、下図のように「逆方向に付けたDiodeに逃がす」という方法が一般的です。
旧来の回路図(old circuit)
ですが、これを「逆耐圧の高いDiodeに負担させる」ように変更することでKeyOFF時に流れる電流をカットでき、省電力化を可能にしました。
keying回路図(COMポートからKEY)

以前はGNDの代わりにTxDを使用していました。モデムのLEDがそうなっていたからという単純な理由なのですが、TxDが常に-12Vである保証がない以上は結局逆電圧の防止が必要ですので、やはりGNDを使うことにしました。 こうすると順方向電圧が24V→12Vとなるため全体の消費電力が半分になりますし、D1のVRの制限も緩くなります。25pinには SGとFGがありますが、意味から考えてSGの方が良いでしょう。

スイッチング素子にフォトカプラを使用しているのは、無線機とPCのアース電位が異なることを想定しているためです。もっと言えばアース電位の異なる二系統の電源が引かれていたという某YKCの条件に合わせるためです。無線機と金属机の間に 50Vの電位差があることもザラだったんす。

フォトカプラの電力伝達率(CTR)と出力側の流す電流から 入力側の電流および抵抗が決まります。経験的にはCTR=50-200%(PC817, TLP521等)・電流2mA程度であればKeyは動作します。PTTに対しては出力側にトランジスタを付けました。CTR > 1000%というダーリントンタイプ素子もありますが、どれだけ消費電力を減らせるかは解りません。

プリンタポートは電流を殆ど流せませんので、フォトカプラを使用できません(ダーリントンタイプでも駄目でした)。ですから使わないのが一番、トランジスタやFETで代用するのが次善の策でしょうか。

真空管リグ(key側が-90vのモノもあります)相手も考慮すると、高耐圧(V_CE0が高い)かつ逆電圧用Di入りのモノが必要です。ダーリントンタイプならなお良いでしょう。Sakushaさんのお勧めはシャープPC725で、スペック的に同等以上の東芝TLP373他、構成の似たTLP127,371,372,373,523,572,627あたりも使えると思います。


通常の通信ポートとMC-RS1/6で結線が異なるのは、MC-RS1/6がPC同士を繋いでデータをやりとりするためのクロス結線(またはリバース結線)になっているからです。元々の結線は

信号線 TxD RxD RTS CTS DTR DSR SG FG DCD RI TxC1 TxC2 RxC
25pin 2 3 4 5 20 6 7 1 8 22 24 15 17
9pin 3 2 7 8 4 6 5 - 1 9 - - -
クロス RxD TxD CTS RTS DSR DTR SG FG - - - - -

のようになってます(「コンピュータ用語の基礎知識」の 9章1節参照)。 9pinって一種の手抜き結線だったんですね。MC-RS1/6では さらに RIがない、DCDが DSRと繋がっているという more手抜き配線になっています(金のモバイルギア参照)。まぁPCと繋ぐためのケーブルだから文句は言えないんですが...


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